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白昼
太陽の昼。
庭の夕顔は花を閉じ、夜が来るのを待っていた。
辺りがだんだん煩くなると、私はまた偽物にもどっていく。
太陽の熱い陽射しを浴びて、溢れた欲望を押し殺すと、穢れた身体を洗い流す。
まるで何もなかったかのように、綺麗に梳かされ整えられた、細くて今にも切れそうな私の長髪。
私の漆黒の髪は、色とりどりの衣裳を着せられた身体から、妙に浮き立っていた。
おまけに花が咲くような美しい顔も、醜い作り笑いを張り付けている。
きっとこの純白だった心も、今は禁断の果実が腐敗したように、黒く淀んでいるのでしょうね。
今の私は、純粋な少女の仮面を被った、淫乱な猛獣。
でも決して後悔はない。
私は生きるために、この世界に来たのだもの。
これこそ、私の生きる希望。
嗚呼、せめて今だけでも。
私はお人形じゃない……。
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