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「日曜の夜と月曜の朝…ってとこか」
榊が呟いた。
「なんですか、それ?」
正直が聞き返した。
「例えば、日曜の夜、榊家に夕食を食べに来る設楽君は、月曜の朝には朝食を食べている」
「えーっ。それだと俺、食べてばっかりみたいじゃないですか」
正直は、毎週日曜の夜、榊家に泊まりに来る。そして、翌日の月曜の朝を二人で迎えた。
それは、二人の職場である図書館の公休が月曜日ということで、自然に決まった習慣だった。
そんな秋も深まりつつある、とある月曜日の昼下がり。
「なんだか昨日から、こっちの耳の中がガサガサするんです」
正直は榊に訴えた。
「綿棒使ったら、取れるどころか、奥に押し込んでしまったみたいなんで、耳かきしてくれませんか?」
そう言って、はい、と竹製の細長い耳かきを榊に差し出した。先端に白い綿毛のようなフワフワのついた、昔ながらの耳かきである。
「人に耳かきをしたことがないんだが。耳鼻科でやってもらった方がいいんじゃないか?」
「フツー、これくらいで耳鼻科には行きませんってば」
「そうなのか? じゃあ、やり方を指示してくれ」
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