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嬉し泣き?
「ハッピバースデートゥーユー、ハッピバースデートゥーユー、ハッピバースデーディア、み〜ほ〜……ハッピバースデートゥーユー」
幸雄の歌が終わると同時に、私は蝋燭を吹き消した。火は見事に全て消えた。
パチパチと幸雄が手を叩く。
「誕生日おめでとう、美保!」
「ふふ、ありがとうございます」
「さて、切り分けないと……あ、そうだ。電気つけないとだね」
真っ暗な部屋に、幸雄が立ち上がるガタッという音が響く。やがてパチッと音がして電気がついた。
「名前が入ったチョコは美保が食べて──美保?」
「ん?何?」
「いや、ホラ、また……」
彼は自分の頬をなぞる様に指を動かした。その動作を見て、自分に何が起きているかを知る。私はそっと頬を撫でた。
「……あぁ、またか」
私の指は、涙で濡れていた。
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