先に言っておいて

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先に言っておいて

次の日の朝 キースが凄く怒っている。 「ミコ…お前もしかして、俺とメーベルさんが襲われるの知っててイチゴを摘みに行かせたわけじゃないよな?」 「そんなわけないじゃない…ていうか、そんな事はどーでもよくて!その時に誰か助けに来てくれた人、または動物はいた?」 「どうでもいいわけ無いだろ!あんな人気(ひとけ)の無いところ、誰も来てくれるわけない!メーベルさんに何かあったらどうするつもりだ!」 ウルフルート見事に失敗!! 「そんなに怒らないでよ。特製催涙玉は役に立ったでしょ?それで許してくれない?」 「まぁ…今さら言っても仕方ないしな…」 キースって攻略対象だったらいい線いくんじゃないかな?伯爵家のお子様だし、庶民のメーベルさんにも優しい。自分よりメーベルさんの事を考える所なんて、男としてかなりポイントが高いよ。 同じモブである私は、子爵令嬢らしい。なんと没落しかけてます! そんな私はまんまと悪役令嬢につけこまれて、悪事に手を貸してしまう。…ていうか、私も軌道修正しないとバッドエンドよ。 死ぬ事はないけど、バッドなエンドは嫌よ。 「ねぇキース、クラウス様と仲がよかったりしない?」 今度はクラウスルートに進ませよう。バッドエンド以外は死なないし。 「そこまで仲は良くない。」 「じゃあ、これから仲良くする予定は?」 「特にない。」 「じゃあ…殿下とは?」 「アイツは嫌いだ。」 「…あんたよくそんな言い方できるわね。」 モブ友として、心配になるよ。 「アイツは昔妹を泣かせた…まだ6才だった妹のほっぺたをつねってな。あれから8年たつけど、未だに俺の家にズカズカやってくるし、嫌なやつだ。」 王子と接触あり、しかも結構しっかりとした設定…そして妹に優しい兄…。 キース、あんた凄すぎるよ!!本当にモブなんてやってる場合じゃないよ! もしかして、ウルフ攻略後にもう1人いる可能性とかありえる? ううん、私は全ルート終えてるから、そんなわけ…… しまった!! このゲーム、私が死んだかもしれない日に続編発売だ! もしかして、このモブだったキースが新キャラで登場してるのでは? でもそれなら、使い回しのモブ画だった頃より綺麗に描きなおして、補正が入るよね。 今現在、私が見ていた顔と変わりない。 …って、くだらない事を考えてる場合じゃないよね。 キースがクラウスとあまり仲良くないのであれば、クラウスルートは没だわ。 王子ルートへ進めよう! 「キースくん、殿下とメーベルさんが恋に落ちるとか、素晴らしいと思わない?」 「は?」 「身分違いの恋!とかさ。」 「お前…王子が好きな人と結婚なんて出来ると思うか?それなりに身分と権力の高いお嬢様と結婚させられんの。まぁ、俺達も例外じゃない。」 普通なら無理なのは解るわ。 けど、それが出来ちゃうのがゲームの素晴らしい所なのよ! 「昨日からメーベルさん、メーベルさんってなんなわけ?」 「何って、ここは彼女の世界だから。」 「…お前、頭大丈夫か?」 しまった!! キースはもともとこの世界の住人なんだから、『メーベルさんの世界』とか言われても意味わからないよね。 「とりあえずね、天才剣士とメーベルさんを2人きりにするのだけは阻止してね。頼んだわよ!ハイスペックモブ男子!」 授業が始まるので、私はBクラスへ帰った。
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