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 「あの、おじさん。この世界にお詳し......」 青井の話を遮るようにして、おじさんが一言放った。 「奴は戻らんぞ」 「え?」 青井が予想外の言葉に驚いて聞き返すも、二度目はなかった。 心にわだかまりをを抱えながら彼女は五島のもとへ。  二人は2歳児の集まる部屋の手前まで来た。 「あ、いた!」 青井が先生と遊んでいる木村を見つけ、大声で言うと、 五島が慌てて青井の口を塞いだ。 「何、大声出してんだ!  俺らが大人だってことがバレれば、目を付けられる。  慎重に呼び出すんだ」 すると、先ほどの青井の声を聞いた先生が二人の居場所へ向かってくる。 「早速バレたか。これはまずい。どうすれば」 頭を悩ませる五島。 先生の右足が部屋と廊下の境界線を踏む。 もう終わりだと腹を括ったそのとき、 「せんせーい!」 と、先生に飛びつく子どもが一人。 おじさんだ。 先生はおじさんを抱きかかえ、あやし始める。 抱っこされたおじさんとは一瞬目が合い、 彼はアイコンタクトで部屋の中に入るよう合図してきた。 すかさず青井と五島は部屋へ突撃。 二人は木村を無事に呼び出し、三人で安全な場所へ腰を下ろした。  「先輩、助けてくれたんですね! ありがとうございます!   ところで、こちらの方は......?」 「うん、私の元カレの翔。  偶然ここに来てたみたいで色々と手伝ってもらっているの」 五島が木村に対して軽く会釈をする。 「あなたが翔さん! 青井先輩から話は伺っていますよ!  先輩、念願の人に出会えてよかったですね!」 青井と五島は目を見開き、互いを見合わせ、そっぽを向いた。 二人から気恥ずかしさがありありと感じられる。  少し沈黙が続いた頃、おじさんが三人に合流した。 ここで木村がおじさんを一目見て、衝撃の発言を繰り出す。 「たっくん? たっくんだよね?」
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