君の死に顔を観たい

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 もう布団に入ったのに、豆腐にチーズ乗せてチンするやつ食べた過ぎて眠れないよぉ。  布団から這い出して半纏を羽織る。  寝静まった家で電気を点けるのは憚られ、スマホの明かりを頼りに台所へ向かった。  そして「豆腐にチーズ乗せてチンするやつ」ができ上がるのを、鼻の頭を弄びながら待つ。鼻が高くなるように、と毎日鼻を摘まんでいたらすっかり癖になってしまったのだ。効果のほどは全く分からないし、それどころか乾燥して皮が剥けた。  豆腐にチーズ(以下略)を食べていると、今度は体が無性にエビ汁を欲しているのを感じた。エビチリ、エビフライ、エビ炒飯。エビは最近のマイブームだ。  もしかして前世はエビを食べる動物だったんじゃないかしら。「前世占い」でググって一番上に出てきたサイトにアクセスしてみた。氏名と生年月日を入力する。 『山田恵子さんの前世は……タコ!』  人をおちょくったような間抜け面なタコのイラスト付きである。  タコって! 豆腐に(以下略)を頬張りながら一人で面白くなってウヒヒと笑う私。  シメは梅茶漬けだ。お腹いっぱいになったら眠くなってきた。面倒なので歯磨きはサボる。  皿と茶碗を水に漬け、母に宛てた書き置きを台所に残した。色々察してくれることだろう。皿洗っといて、とか、起こさないでください、とか。 『こうして私は再び布団に吸い込まれたまま戻らぬ人となった。完!』
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