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「そう、リック・アレンは左腕を交通事故で失ったの。しかもデフレパードがデビュー後、スマッシュヒットを飛ばしてイケイケの時」と、店長。  マジか?聞いてて全然不自然じゃない。ってか、超上手いんだけど。 「でもね、メンバーはドラマーを替えなかった。リックのドラムじゃないとダメって思ってたの。だって、バンドはドラムで決まるでしょ?」と、店長。 「でも、片手でこんなドラム叩けませんよ」と、リンバちゃん。 「シモンズが左足でスネアやタムを鳴らす特製のドラムを作ったの。リックは練習して、数ヶ月でマスターした。今はヤマハを叩いてるけど」  涙もろいリンバちゃん、またウルウルしている。 「デフレパードがすごいのは・・・」と、校長が口を開く。 「彼を信じて待っただけでなく、彼を今まで通り最高のドラマーとして迎えたこと。障害者となった彼に同情したわけじゃなく、彼の叩くビートだけが自分たちのサウンドの土台を作ることができるって、みんながわかってた」  リンバちゃんが涙を拭いながら言う。 「だって、映像がなかったら絶対片手だなんてわかりません」
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