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 キィ子がリンバちゃんの頭を優しくヨシヨシする。 「障害のある人たちを支援する時、どうしてもかわいそうだからって同情してしまうでしょう?でもそれではかえって傷つけてしまうかもしれない。だから、辛さを理解してあげることとはちょっと違うの。それをわかってあげないと。ほら、スティービー・ワンダーやレイ・チャールズ・・・かわいそうな障害者だからってチケットを買う?」とキィ子。 「まさか!世界最高のブラックミュージックを聴きに行くんです」と、M。  校長とキィ子はにっこりと笑った。そう、この2人はミュージシャンで、同時に教育者なのだ。  店長が言う。 「音楽は今、瀕死の状態かも。ほら、うちみたいなライブハウスはもうやっていけないし、大きなコンサートもフェスもない。狭くて換気の悪いスタジオでのセッションもできない。でもね、音楽が力を失ったわけじゃあないの。音楽って今までどおりパワフルなの。だから、もうちょっと辛抱しよう。リック・アレンの復活を待ったデフレパードみたいに。君たちは諦めちゃダメだよ、絶対に!」  そう、オレらにとって、音楽に代わるものなんてないんだから。店長は、もしかしたら自分に言い聞かせてるのかもな。みんなで乗り越えていかなきゃね。
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