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 外はずいぶん涼しくなってきた。  新型コロナウイルスパンデミックの夏が終わり、秋になった。オレらの町の商店街は、相変わらず寂しい感じ。オレは『Mデンタルクリニック』の前に立っていた。と言っても、虫歯があるわけじゃあない。ここは親友Mの自宅兼診療所。Mは歯科医の次男坊、おじいちゃんの代からここで開業している。  この夏、オレとMは一緒にギターを弾き、曲を作り、そして急ごしらえだがバンドを結成した。で、オレたちは今から商店街のライブハウスに向かうところ。と言っても、ライブをするわけじゃあない。  Mはいつも笑顔を絶やさない、爽やか好青年なんだが、今日はどうも様子がおかしい。 「よう!なんか元気なくない?」と、オレ。 「そっかな?」と、M。 「なんかあったん?」  Mは、ボソボソと話し始める。 「昨日の夜・・・父と母の声が寝室から聞こえちゃって・・・」  おっとっと!それは、まずくないか?ちなみにオレらは中学2年生、清らかで、かつ煩悩(ぼんのう)の塊なのだ。 「いや、そりゃあちょっとショックかもしれんが・・・まあ、そのおしべとめしべ的な生物学的な必然というか・・・オレやお前がこの世に生を受けたのも・・・なあ?」と、オレ。
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