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その夜、美穂は和希に電話した。いつもはメールだが、この喜びを和希と共有したかったのだ。
「もしもし、カズキくん?」
「あぁ、美穂。奈津美さん・・・どうだったって?」
「陽平さんと、婚約したって!とっても幸せそうだったよ」
「そっかぁ・・・そっかぁ・・・奈津美さん、婚約かぁ。でも、LAに行っちゃうのはちょっと淋しいな」
「それは・・・友達として?」
「あたりまえだろ、それ以外、なにがあるんだよ?」
「だよね!」
私たちは、強い絆で結ばれている。元カノとか、もう、そんなの関係ない。私だって、拓也とのことは完全にもう過去だ。
「向こうに行っちゃう前に、4人で食事でもしたいな。陽平さんにも会ってみたいし」
「そうだね、忙しいだろうけど」
坂上店長には本当にお世話になったし、何か結婚祝いのプレゼントもあげたいな。
「・・・っと。話は変わって、美穂のご両親にお会いする話だけど」
どきんっ!そうだった、そうだった、和希がうちに来るんだった。
「いつがいい?うちの両親は、週末ならいつでもいい、って言ってくれてるけど」
「善は急げ、で今度の日曜でいい?」
「わかった、伝えとく。都合のいい時間も聞いとくわ」
「よろしく」
和希なら、大丈夫だ。美穂は、確信していた。美穂が本当に愛する相手を両親が拒否する理由がない。でも、やっぱり、ちょっと緊張するなぁ。
「緊張してる?」
「そりゃあ、ね。でも、早い時点で挨拶しておいた方が、今後、いいだろ。正式な婚約はまだだけど、約束しているんだし」
和希は本当に早い時期に約束をくれた。クローバーのネックレスに触れながら思う。そして、右手のリングを見つめる。和希との今を楽しんで、何十年か先にふり返ったときに「こんなに長く一緒にいたんだね」って笑い合える日が来るといいな。
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