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バースデー当日~幸福、そして・・・
美穂の誕生日、5月15日、日曜日。本来なら・・・美穂は元婚約者、拓也との挙式の日だった。でも、そんなことは遠い昔の約束だった気がする美穂だった。美穂が9時半ちょうどに花屋の前に着くと、和希が腕いっぱいの花束を抱えて立っていた。
(うっそ、目立ちすぎ~)
と思いながら、和希に声をかけた。
「カズキくん・・・遅くなってごめん」
「全然!時間ジャストじゃん!これ・・・HAPPY BIRTHDAY!! スイートピー、好きって言ったたよね?」
「うん。ありがとう、こんなにいっぱい」
「来福門は円卓にしてもらったから、置く場所はあるよ」
「そこまで考えてたの?」
「まぁね」
色々考えてくれて嬉しい、と美穂は思った。山手線、みなとみらい線直通の東横線で横浜中華街駅へ。少し歩くと、来福門があった。きらびやかな門をかたどったこの店に来たのは美穂は初めてだ。
「11時に予約の、飯島です」
「飯島様、2名様、お待ちしておりました。こちらの個室へどうぞ」
えっ!個室?
((2人で思いっきりイチャイチャできるだろ?))
美穂の耳もとで和希がささやく。ぼっ、と赤くなる美穂。
「ぷっ。そういうとこが、可愛いんだよなぁ、美穂は」
「からかったの?」
「からかって、ないない。本心」
(もうっ、カズキくんはぁ)
「本店は、オーダー制の飲茶バイキングです。ドリンクバーはどうされますか?」
「つけてください」
和希が即答する。
「では、ご自由にそちらの部屋のマシーンで。オーダーがお決まりになりましたら、ボタンでお呼びください」
と言って、店員が去ってドアが閉まると。
「お誕生日おめでとう、美穂」
熱い、熱い、キスをした2人。
ドリンクバーを取りに行って、テーブルに戻ってメニューの多彩さに驚いた。
小籠包、ふかひれ入り餃子、海老蒸し餃子、ホウレンソウ入り餃子、海老シュウマイ、フカヒレ入りスープ餃子などなど・・・数えられないほど。お粥やピータン、それに蒸しカステラやカスタード入り蒸しだんごなどのデザートも充実している。
次々と頼んだが、オーダー制のためか、来るのはユックリめ。その分、イチャイチャしほうだいだった。
それでも、時間いっぱいの2時間が来る頃にはお腹いっぱいだった。
「う~ん、お腹いっぱい。カズキシェフの夕食、食べられるかなぁ」
「山下公園を散歩すれば、大丈夫なんじゃん?もう、あっためるだけになってるよ」
「そうだね~。カズキくん、準備万端!」
2人で山下公園まで、歩いて行った。海を見ながら、お散歩。和希が頭を掻いて言った。
「あんなことがなかったら、このあたりで告白して、クローバーネックレスプレゼントするつもりだったんだけどな」
あんなこと・・・それは、坂上店長が元カノって分かったこと。今は、もう、気にしていない。彼女も、新しい彼と仲良くやっていることだろう。
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