248人が本棚に入れています
本棚に追加
/309ページ
梨夏はふと思った。このフレンチトーストを、瞬一はいつも食べたいといっていた。ことあるごとに話していた。サッカーの夢を語るよりも多くいっていたのではないか? そんな記憶がゆっくりと浮かんでくる。
……となると、当然恋人の深田亜美にもいっていたはずだ。
――何かひっかかる。何だろう。
「どうだい? 美味しいだろう」
花染がニコニコしながら梨夏に訊いた。
しかし、梨夏は答えない。頭の中で疑問と格闘している。
――この違和感はなんだろ。
「ハハハ。言葉も出ないくらい美味しいか。これはボクの人生で一番美味しいフレンチトーストだよ。うん、言い切れる」
―そうだ!
梨夏は深田との会話で感じていた疑問が解けた。
「絶対ウソだ!!」
梨夏は声を張っていった。
最初のコメントを投稿しよう!