《3章》 美しい顔にはウソがある!?

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「ただいまぁー」  梨夏は玄関のドアを開けた。和彦の気配がない。日曜出勤になったのだろうか。 良かったあ、と思った。 帰宅早々に和彦から嫌味を受けるなんてたまったものじゃない。梨夏はそそくさと部屋に入り、しばらく休んだ。  夕方を過ぎた頃、和彦が帰ってきた。作業着は着ていない。珍しくスーツ姿だった。 ――何の用だったのか。梨夏は想像する。もしかしたら……女と会っていたのではないか。 いつもは娘が寝静まってから会っていたのを、今日は堂々と日中に会える。娘の帰りを心配しながらも、内心は喜んでいたのではないだろうか。梨夏は和彦の行動の奥底を妄想して鼻で笑った。  リビングで和彦と話すことになった。テーブルをはさんで向かい合った。 「大丈夫だったのか」  和彦は重たく口を開いた。 「うん……彩乃の家に泊めさせてもらったから」  梨夏は視線を壁へそらす。 「その日のうちに帰るという約束だったのは覚えているよな」  梨夏は胸が重くなった。脇がじわり湿っていくのを感じた。 「ごめんなさい」 「ふぅん……」  和彦は露骨にため息を吐いた。 「約束を守れないなら、もう遠出の外出は禁止にするぞ」
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