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「花染さん……。それ、変だと思いませんか」
さすがに指摘した。
「あ! もしかして寝癖がなおってなかったかな」
花染は後頭部をおさえる。
「違う違うちがーう! その格好ですよ」
「これが? 私服で来たらダメだったか?」
――私服かよ!
何がおかしいのか、という花染の表情に、梨夏は全身の力が抜けた。――はあ。なんだこの人は。
「いえ、ダメじゃありません」
この人を論破するのはきっと不可能だ。太陽に日差しを弱くしてくださいとお願いするよりも不可能だ。
「さあ、さっそく行こう」
花染は胸を張って歩きだした。この人と一緒に歩くのか。町の人から変なやつという称号を与えられそうだ。
「場所は新清町公園、だったよね?」
花染が尋ねる。
「ええ。ここから十分ほど歩きます」
暑い空気の中を歩く。しばらく経つと、花染が口を開いた。
「ところで。犯人探しはいいけど、具体的にどうやって活動するんだい」
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