《1章》 夏風に揺れる花染さんの袴

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「花染さん……。それ、変だと思いませんか」 さすがに指摘した。 「あ! もしかして寝癖がなおってなかったかな」  花染は後頭部をおさえる。 「違う違うちがーう! その格好ですよ」 「これが? 私服で来たらダメだったか?」 ――私服かよ!  何がおかしいのか、という花染の表情に、梨夏は全身の力が抜けた。――はあ。なんだこの人は。 「いえ、ダメじゃありません」  この人を論破するのはきっと不可能だ。太陽に日差しを弱くしてくださいとお願いするよりも不可能だ。 「さあ、さっそく行こう」  花染は胸を張って歩きだした。この人と一緒に歩くのか。町の人から変なやつという称号を与えられそうだ。 「場所は新清町(しんせいちょう)公園、だったよね?」  花染が尋ねる。 「ええ。ここから十分ほど歩きます」  暑い空気の中を歩く。しばらく経つと、花染が口を開いた。 「ところで。犯人探しはいいけど、具体的にどうやって活動するんだい」
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