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【1】
流れる無言の時間。
やや動揺した様子で、花染が口火を切った。
「犯人を知っているってどういうことだ? 詳しく教えてくれないか」
「もちろんです」
梨夏は花染の目を見つめたままいった。
「そのまえに――日陰に移動しません?」
「賛成だ。それに喉がかわいている。何か飲みたいな」
「あ、ならいい場所あります」
梨夏は先を歩き、その場所へ案内した。
駄菓子や文房具も売っている小さな雑貨屋だ。腰の曲がったお婆さんが丸椅子に座って店番をしている。アイスとジュースを買って、店の脇に設置された赤色のベンチに座った。庇があるので暑さをしのぐことができる。
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