<第一話> 

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田辺「アイツのどこが危険なんだか」 遠藤『田辺、聞こえる?』 田辺「聞こえてますよー」 俺は片耳につけたイヤホンを押さえながら、斜め前の席に座る遠藤を確認した。 切りそろえられたボブヘアを耳にかけながらパスタを食べている。 遠藤『私ではなくて対象を見ろ』 田辺「……見てねーよ!」 ほぼ満席のファミレス店内。 高校生、大学生、サラリーマン……みんな視線が鋭い。 ここに本物の客はいない。全員、瀬良のために投入された調査官だ。中には武装した奴もいるのだろう。 【上層部】という組織の存在は世間では知られていない。俺も詳しいことは何も知らない。 ただ、クラスメイトの遠藤がその組織の末端で働いていて、順調に任務をこなし成果をあげて、ゆくゆくは【上層部】のトップに入ることを望んでいることだけは分かっている。 瀬良「はい、瀬良特製のスペシャル烏龍茶!」 瀬良が座席に戻ってくる。真っ黒色の飲み物を渡される。炭酸の泡がコップの底から湧いている。 瀬良「やっぱりドリンクバーと言ったら混ぜるよな?」 田辺「……何で?」 瀬良「何でって…何でだろう」
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