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田辺「アイツのどこが危険なんだか」
遠藤『田辺、聞こえる?』
田辺「聞こえてますよー」
俺は片耳につけたイヤホンを押さえながら、斜め前の席に座る遠藤を確認した。
切りそろえられたボブヘアを耳にかけながらパスタを食べている。
遠藤『私ではなくて対象を見ろ』
田辺「……見てねーよ!」
ほぼ満席のファミレス店内。
高校生、大学生、サラリーマン……みんな視線が鋭い。
ここに本物の客はいない。全員、瀬良のために投入された調査官だ。中には武装した奴もいるのだろう。
【上層部】という組織の存在は世間では知られていない。俺も詳しいことは何も知らない。
ただ、クラスメイトの遠藤がその組織の末端で働いていて、順調に任務をこなし成果をあげて、ゆくゆくは【上層部】のトップに入ることを望んでいることだけは分かっている。
瀬良「はい、瀬良特製のスペシャル烏龍茶!」
瀬良が座席に戻ってくる。真っ黒色の飲み物を渡される。炭酸の泡がコップの底から湧いている。
瀬良「やっぱりドリンクバーと言ったら混ぜるよな?」
田辺「……何で?」
瀬良「何でって…何でだろう」
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