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『メンバー内恋愛禁止』 俺達のグループ設けられたルール。 男5人のアイドルグループなのに何を馬鹿な事言っているのかと当時は鼻で笑っていた。 男同士で愛だの恋だの発展するのなんて漫画やアニメの世界だけ。 そう思っていたのに。 「おーい小鷹聞こえてる?・・・ねえ小鷹ってば!!」 自分を呼ぶ声に意識を向ければ思い浮かべていた顔が目の前にあって息が止まる。 ぱっちり二重の大きな瞳。 瞳の色が黄色よりなのは外国人の祖父の血を引いているかららしい。 鼻筋もとおっていて全体的に日本人離れした顔つきをしている。 それに比べて髪は綺麗な黒髪でさらさらしていて日本人よりだ。 こちらは母親の髪質が遺伝したものだと昔聞いたことがある。 現在はドラマの役作りのために伸ばしているようで余計に神秘性が増している。 言葉では言い表しにくいこの綺麗な存在を和洋折衷の王子様と例えたファンの子に俺は心の中で拍手を送っている。 あまりの美しさに見惚れてしまったが長い髪が頬を擽る感覚で一気に覚醒する。 「ごめんちょっと疲れてトんでたわ。てか近いから慧離れて。」 目線はできるだけあわせないように王子様こと朱里 慧を追いやりソファから起き上がる。 久しぶりに顔面を直視してしまったせいで心臓がバクバクと音を立てている。 最近は保存してある写真や家にある雑誌の慧を見て練習していたので大丈夫だろうと思っていたけどやはり本物の破壊力は絶大だ。 俺に追いやられた慧は近くに置かれていた自分の上着を羽織りだす。 その動作さえもかっこよくて思わず目で追ってしまう。 「何回も声かけたんだけどね。ソファで寝てたら疲れとれるもんも取れないよ」 「はいはいわかってるから・・・で何の用事で来たの?」 「あっそうだよ本題!次の現場に移動するって。荷物持って急ぐ!松本くんに叱られる。」 急げ急げと慧が二人分の荷物を持ちながら俺の腕を掴み出口へと進んでいく。 この行為も昔なら普通だった。 今までなら笑って一緒に歩くことができた。 でも今の俺にとってはただ事ではない。 掴まれた腕が異様に熱い。 先ほどの件もありよりまだ平常じゃない俺の心臓は一層鼓動がが早くなったように感じる。 この音が聞こえてしまうのではと不安になり慧の腕を振り払い先へ進んでいく。 「ちょっと小鷹元気になったなら自分の荷物くらい持って行けよ」 「やだ!寝落ちるくらい俺疲れてるし慧よろしくー!!」 「なにそれ!走れるなら疲れてなんかないでしょ」 「うるさい。松本くんに怒られるの嫌だから先行く。」 「起こしてあげたのに先行くってありえない・・・てか早い待ってよ・・・・!!!」 人にだけぶつからないように気を付けて出口へと走っていく。 すれ違う人に追いかけっこ?なんて聞かれて笑って返事をする。 今止まるわけにはいかない。 この顔を本人には見られたくない。 この気持ちは知られてはいけないのだ。 知られたら終わってしまう。 終わるくらいなら『同じグループのメンバー同士』の関係を続けていくほうがましだ。 誰よりも家族より恋人よりも長い時間一緒に居れる。 この環境のほうが自分には好都合だ。 好きな人のそばにいるために俺が選んだ場所なんだ。
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