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いつもの馬鹿
日暮れ時だと言うのに、今日も君は何かを探すような学校帰り。
ふと公園を見ると、学校近くの公園のブランコに立ち乗って、着ているセーラー服のスカートを揺らす君の姿。
そんな姿を見て、僕は溜息を一度吐いた。
珍しく、今日は君の隣のブランコに腰をかけて、君が作り出す目の下の隈を目視した。そんな僕の気配も知らずに、目を瞑って得体の知れない何かを探し続けていそうな君のその表情は、何か良からぬ者に取り憑かれて翻弄されているようだ。
「な、なあ…なにしてんだよ」
もしかしたら、君の背中から突然に真っ黒な翼が生えて、どこかへ飛び去ってしまうんじゃないか。そんなサスペンス的な状況を頭の中で期待させた僕は、とうとう不安に駆られてしまい、たまらず声をかけている。
「あっ!わたしはわたしだ!」
「あー、なんだ…いつもの馬鹿か」
何処かで何かを期待していた思いが、君の馬鹿みたいな発言に掻き消され、がっかりしている僕の隣で、何がそんなに嬉しいのか、満足げな表情で笑っていた。
「うふふふふ」
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