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クラス
学校では君と同じクラスだけど、席も真逆と言っていいほどに遠く、僕が廊下側の一番後ろの席で、君は風当たりのいい窓側一番手前。だから話さないし関わらずにお互いが何をすることもなく机に伏せているだけ。
でも僕らは友達がいないわけでもないけれど、そこまで仲の良い友達ができているわけでもない。
だから、余計に机に伏せて一日を過ごすことになるんだ。
そう考えていると、机に顔を伏せていたつもりだった僕は、いつしか君のことをぼーっと見つめている。
「おい、お前今日もあいつと登校してきたんか?」
肩を叩かれて振り向けばいつもと変わらぬ顔の『友達』。僕の認識だと僕に声を掛ける人の誰の顔にもそう描いてある。
「まあ、そうだけど」
「なんだよ、やっぱりお前ら付き合ってんのか?」
「んー、付き合ってたらそれはそれで面白くないでしょ」
「はあ?何言ってんだよ!青春を感じろ!じゃあ俺、選択科目の授業音楽だからいくわー!六階までダッシュだな!」
「うん」
友達の背中を長く見ることもなく、もう一度机に伏せようと前を向き直す。
「ねえ、今日一緒に帰らない?」
「うわ!びっくりしたあ!」
声をかけてきたのは君。
隈が目立つけれど、そんな顔じゃなきゃやっぱり君ではない。
「どうする?帰る?」
「それを言うなら今日もだろ?どーしたんだよ、いきなりそんなこと言ってきやがって」
「私も青春したいと思いましてですね」
いつものように、何を考えているかもわからない表情で君は意味もわからないことを言う。
だから僕は首を傾げるけれど、君はその後すぐに自分の席に戻って机に伏せた。
「青春なんて普遍的だ」
そう口にするのは、僕と君との間にそんなくだらない言葉を挟みたくないからだ。
僕もまた、机に伏せた。
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