はなしたくない

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はなしたくない

 「ねえねえ、君にははなしたくないことあるの?」 「?」 放課後、図書室に寄ってから本を借りた。 その後、偶然に出会った君との帰り道は、いつものように夕暮れに染まっていた。 しかし、珍しくも君から僕に対しての質問。それに君から始まりそうなサスペンス的な展開に面を食らっていた。 「私にはあるよ、はなしたくないこと」 「え、なに?」 「いやいや、それは話したくない」 「なんだよ、ならわざわざ言うなよ」 「君はあるの?」 「話したくない」 君から始まるサスペンスどころか、ただの面倒事。こんな会話で何が発展していくと言うのだろうか。そもそも、こんなやつに期待している自分は少し変わっている。  会話を切り上げた後、特に話すこともなく黙って歩いていたので、道に転がっていた小さな石ころを蹴り始める。 「ぎゅっ!」 「うへあ!はなせはなせっ!」
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