涙の行方

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「山田さぁーん」 S子が鼻にかかった声で私を呼んだ。 「はい、なんでしょう」 「支店長から、なんて?」 ニヤニヤして聞いてくる。 回りの同僚は、 微妙な雰囲気を察しているだろう。 「いや、特に何もありません。」 「あら、そうなのぉ?」 不満そうな顔。 「じゃあ、暇かしら。山田さんいつも暇そうよね。ふふふ。これ、分類やっててね。明日の朝提出でいいから。」 ぼんっ、と分厚いファイルを渡される。 (あー。これめっちゃ時間かかるやつだぁ。) 「お昼ではダメでしょうか。」 一応きいてみる。 「ダメ、ダメ。明日の朝イチで、わたしが!見たいから!」 「はい。」
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