5月 インテリ・コーヒー・シャーペン男

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「いいなあ……」 私はぼんやりと視線の先の光景に見とれていた。 「ちょっと、一花(いちか)。よだれ、よだれ」 横から軽蔑の眼差しを向けるのはわたくし、及川一花(おいかわいちか)と同じ会社に勤める同僚の和泉理子(いずみりこ)だ。 株式会社真波製菓(まなみせいか)の同じ秘書課の同僚かつ親友で、只今私たちはお昼休み中。 会社近くの行きつけのカフェ【ミモザ】に出てランチをしているところだった。 しかし、私のよだれの原因は、ここの料理……ではない。 まだ、テーブルは空っぽのまま。 今は〝目〟で楽しんでいる。 とは言っても、やはり、料理は関係ない。
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