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――――副社長の気遣いは完璧だった。
いきなり部屋に行くわけではなかったので、心の準備をする時間は稼げた。
それに、アルコールが入ると、落ち着いてきた。
久しぶりのバーの雰囲気が心地いい。
もっとも、こんな高いホテルのラウンジになんてほとんど縁はないけれど、今日は久しぶりなうえに贅沢な気分でさらに気分が良くなっていた。
「外で飲むの久しぶりで…いいですね、やっぱりこういうの」
「そう言ってもらえて何よりだよ。毎日お守りじゃ息も詰まるだろうしね」
「…息は…詰まりませんよ。オミ…(ヤバッ)晴臣くんには言いたいこと言えるんで。って、…あ、すみません! そんな言い方…して…」
…しまった。
少しの間にお酒に弱くなったのか口元が緩んでいるらしい。
ああ見えてもオミオミは副社長の弟さんだ。
「別に構わないよ。君は“しつけ“として、そうしてくれたら。でも、アイツの悪いところを全部注意してたらキリがないだろうけどね」
副社長は呆れるように鼻で笑った。
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