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「さあ」と副社長は先ほどと同じ返事をし、私の手を引き寄せた。
「君のことは俺が守るから大丈夫」
彼はクスクス笑うと、エレベーターホールへ歩いた。
角を曲がる前、ふいに腕時計を見る。
「…遅くなっちゃいましたね。明日の朝…ちゃんと起きないと。ですから、副社長、私はこれで――」
「なんでちゃんと起きるの? いいんじゃない? ゆっくりで」
副社長は私の言葉を遮るように言った。
なんだか、すっかり副社長のペースだ。
「…副社長、明日のこと忘れていませんよね? 晴臣くんの学校に一緒に行っていただく約束ですよ?」
「…あ、ああ。それか。覚えてるよ、大丈夫」
副社長は笑いながら、「でも」と付け足した。
「…もしかしたら二人で寝坊するかもね」
「それは…困ります…。ですから、今日はこれで―――」
角を曲がりながら返事をしてホールに着くと、悲鳴をあげそうになった。
…いや、あげていた。
「オ…オミオミ!?」
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