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「じょ、ジョーイ……タチバナ、です」  宿に戻って、みんなに紹介した。  その時、ジョーイは水をかけられた炭のようにしょげ返っていた。  服装はスーツ。子供サイズでぴったりなのがテーラーにあったので、それをエイシスが自腹で出す。  そして顔には、リゼとお揃いの黒いアイマスク。 「ダッセ! こいつの眼帯。超ダッセ!」 「お前、よくそこを笑えたな……」  アイマスクが、他人のアイマスクを笑う。ギブリが呆れていた。  そして、アルトもまた笑った。  エイシスが連れてくるなり、その覆面少年を見てずっと笑い続けている。  口を両手で押さえて、可愛らしく笑う。  そこにリゼが渾身のボケツッコミを入れたので、顔を真っ赤にしてくつくつと笑った。  そして、急に目に笑い涙をいっぱい溜めて、久しぶりに再会した弟を両腕で思いきり抱きしめたのだった。  彼らの旅は、これから始まったばかりである。
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