二人の時間

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二人の時間

小旅行は何日も前から楽しみにしていた。 宿泊する宿は、目の前に海が広がっている。 波がザザーっと音をたてて打ち寄せていく。 宿に着いてから、二人で手を繋ぎ、海岸を散歩した。 今は誰の目も気にする事なく、ゆっくりとした時間を二人で過ごす。 数日の小旅行はそうやって色々な事を話たり、寄り添って過ごした。 残り一日になり、寂しさが募る。 時間が一分経過する毎に、寂しさが大きくなる。 海岸を二人で散歩していると、ずっと遠くを怪しい男達が何かを探してるように見えた。 『四郎さん、あそこ!』と怪しい男達を指さす。 「あき、まずい、居場所がバレてしまったみたいだ!急いで逃げよう。」と血相を変えて慌てて宿に戻る。 また朝がきて、夢の途中で目が覚める。いつもの朝だけど、何か違和感を感じる。 どうしてあんな途中で目が覚めるの!と夢が覚めなければよかったのに、と思いがら、続きはどうなるのだろうとワクワクしながら、支度をする。 ふと、違和感を感じてテレビに目をやる。今日は、11月11日だ。 昨日も11日だった。 何が起きたのかすぐには理解出来なかった。 もし、時間が戻ってるのであれば、昨日と同じ事が起きるはず。 とりあえず、昨日と同じ行動をしてみる事にした。歩いていると、前から来た男性とすれ違う。 「ぼーっとしてると危ないですよ。気をつけて。」とそっと、寄ろける肩に腕を回して支えられた。 『すいません。ありがとうございます。』と会釈をして視線をかわす。 その場を後にして歩いているとやっぱり違和感を感じて、昨日の今日の事を思い出した。 『あっ!』と大声が出て、慌てて振り返る。さっきの男性はもういない。 その後も昨日の今日と同じ行動をする。 あの男性との出来事以外は全て同じだった。 どうしてなのか、混乱する頭を必死に冷静にと、深く深呼吸をする。
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