不思議玉手箱 短文集

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ふと、一寸先は闇。足を取られないように。賽の河原で子供たちが石を積んでいる。ひとつ詰んでは母のため…恐山のかむろぎ、祝詞。こけし、子消。神隠し、盲目の按摩。めしいた瞽女。啞。そのどれもが、歪んでいびつないとし子。ゆめゆめ忘れるではないよ、彼らは、大切にしてあげるんだよ。普通のものではないものが見えるのだから。 死神。鎌を持って、街をふらついている。彼らの好きな、人間の魂は、そんなところにはないよ。集めた魂をあの世に持っていて、閻魔様の前で滂沱の涙する魂たち。六文銭は、そう安かろうこともあるまい。そんなになくことはない。もう、戻れないのだからね。彼岸花。亡くなった人を想って泣く家族を現世に残して。
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