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「俺たち六国は運命共同体というわけだな。なるほど、良い名だ」
ひどく気に入ったのだろう、ワンが頷く。
六国を引き合わせた「才」と、集団を意味する「コロニー」を合わせた響き。
出目で運命が決まる、六面の箱。サイコロの性質も加味された名であった。
どうやら他の将も異論はないようで、首肯する。
六国同盟『サイコロ』が、今ここに結成された。
「名も決まったことだ。これからの方針を話しておこう」
頃合いを見て、キャスタが話を進める。
「まずは国民に情報を開示するか否かだが。正確な情報が出揃うまでは、公表はよした方が良いだろうな」
キャスタの言い分は尤もであった。
曖昧な情報は混乱を招く。大陸に危機が迫っていると伝えられたところで、詳細が不明となれば不安を駆り立てるだけだ。
不用意に情報を開示することは、得策とは言えないだろう。
平吉が頷き、言葉を続ける。
「それにしても情報が少なすぎる。まずは情報収集に専念すべきやろな」
「そうじゃな。こんな時こそ、セウズの若造がおればのう・・」
バッカーサが呟く。視線の先のマテナは、複雑な表情で口を噤んだ。
バッカーサの言う通り、セウズの『全知全能』があれば、情報収集の効率は格段に跳ね上がるだろう。
しかし、セウズは未だ眠ったまま。いつ目を覚ますかも分からない状態であるため、『全知全能』の要素は除いて話を進めるべきだ。
「奴らが次いつ動くのか、決して油断はならない状態だ。しかし焦って講じた策が実を結ぶとは思えない。各々情報を精査し、改めて会議を開くことにしよう」
キャスタの案に皆が同意を示し、六国同盟『サイコロ』の第一回会議は幕を閉じた。
各国の将が立ち上がるなか、
「ワイはあの人んとこを訪ねるとするかいな」
平吉は呟き、天幕を後にした。
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