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誘拐
ある夜、センドがロゼッタを揺すり起こしました。眠い目を擦り、起きたロゼッタの意識がまだ覚醒しないままに、
彼女を子供部屋から連れ出して、大きいお屋敷の中を走り出しました。彼女は何事かと尋ねましたが、センドは口元に指を立てて静かにする様に言いました。何か足音の様な物が聞こえて、二人は咄嗟に廊下にあった花瓶が置いてある棚の中に隠れました。
こつり。こつり。と足音は少しずつ近づいて来て、二人が隠れる棚の前迄やって来ました。
「ばあ!!」
男は勢い良く、棚の戸を開けました。
前歯が抜けてガタガタになった口からはドブの様な悪臭がしました。
大きくぎょろぎょろとした目でロゼッタを見て、ニタニタと笑っています。
彼女は余りの恐ろしさにガタガタと震えて、粗相をしてしまいました。
「おやおや。おねしょかい? 新しいお洋服を用意しないとねえ? メイドさん?」
男はそう言いながら、手に持った金髪の先にある頭部に話し掛けました。
首から下は無く、その頭部は目を見開いたまま、じっと男を見据えて居ます。
切り口からぽたぽたと滴る赤い血が床に落ちるのを最後に、ロゼッタは気を失ってしまいました。
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