皆、順番に良い子で待ちましょう。

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皆、順番に良い子で待ちましょう。

目が覚めると、ロゼッタは白い寝間着を着せられて、ふかふかのベットの上にいました。彼女を覗き込んだのはセンドでした。 「きゃ!」 「しー!!」 センドは指を立てて、静かにするように言いました。 周りを見渡すと等間隔に同じベットの上に彼女と同じ寝間着を着た子供達が寝かせられていました。 (ここは、何処なの?) (わかりません) 二人は小声で掛ふとんに包まりながら話ました。 (お父様とお母様は……) (……わかりません) (……ねえ、私が見た、金髪の) 最後迄言い切る前にセンドがその口を手でふさぎました。それ以上、言ってはならないと言わんばかりに首を左右に振りました。やはり、アレは夢では無く、現実だったのかと再び恐怖が湧き上がり、そして、両親には二度と会えないのだと思った途端、涙が頬を伝いました。その涙をセンドは指で拭ってやりました。 (ロゼッタ、君が此処に連れて来られてから既に三日経っているんだ) (そんなに!?) (しー! 声が大きいよ) (あ、ごめんなさい) (君が眠ってる間に此処について調べてみたんだけど、大した事は分からなかった。その代わりに僕達の味方を一人、見つけたよ) (味方?) (そうだ。僕達と同じように此処に連れて来られた男の子だ。明日、その子とお話をしてくれるかい?) (分かったわ) (因みに、僕は此処では動かない只のロボットのおもちゃって事になってるから、くれぐれも人前で僕に話しかけちゃ駄目だよ) センドが彼女と一緒に来れたのは、彼女が気絶しながらもセンドの手を離さなかったからでした。彼女を誘拐した男は、乗って来た車の後部座席に彼女とセンドを茣蓙袋(ござぶくろ)に入れて乗せました。何回か信号がありましたが、男はブレーキを噛む事は無く、信号無視をしながら恐ろしい速度で車を走らせました。幸い、深夜だった事もあり、人通りは無く、大きな事故は起こりませんでした。只、袋の中でセンドは男の狂気に震えていました。 その話を聞いて、ロゼッタも心底凍りつく思いでした。それに、何故センドは動かないフリをするのかも教えてくれました。本来、おもちゃは動かない。動いても、それはカクカクとしたぎこちない動き方で、自分の様にスムーズに動作をするロボットは民間人(・・・)の手には広まって居ないのだと言いました。 (僕は旦那様のご友人である、研究者に作られたんだよ。ロゼッタにとって、旦那様がお父さんで有るように、僕にとっての父さんさ) センドは研究者の友人に人の心を学ばせる為にと旦那様に託されました。良く分からないけど、君の頼みなら。と旦那様はセンドを引き取りました。友人の説明は小難しくて、よく理解しておらず、旦那様も奥様もセンドの事を只の機械仕掛けの人形だと思っておいででした。 (だから、旦那様や奥様が僕を理解出来ずにいたのは自然な事だったんだ) (そうだった。ねえ、あなたは一体何?) (それはまだ、秘密だよ。ほら、もう眠いだろう。おやすみ) ロゼッタはセンドに優しく頭を撫でられて、安心したのか眠りに落ちました。
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