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「全部、友達?」
口を尖らせて確認を取る真白に微笑んで頷くと、小さなため息。
みっちゃんも、もっと早く言って欲しかったな。
こんなに真白がやせ細る前に。
最も女同士の友情を1年は頑なに守ったってことで彼女が真白に責められるのは後で阻止しよう。
「わかってると思うけれど、私とじゃ青也は」
「わかってないと思うけれど、真白とじゃなきゃ俺は幸せになれないと思ってる」
困り果てている真白をもう一度抱きしめてから。
「ここ俺の会社からならバスで一本なの」
「そうなの?」
「そうなの、真白、詰めが甘い!」
「わー……、そこまで調べてなかった」
アハハと笑ったその顔を見たら、よく見たらさ。
涙でいっぱいで。
後ちょっとつついたら零れちゃうんだろうな。
「この辺りいいよね、自然も多いし。引っ越そうかな、広めの部屋で犬が飼える部屋見つけて」
「犬?!」
犬好きの真白が瞬間目を輝かせたのには笑いをまだ堪えて。
「そうそう、来月ライブあるの知ってた? 俺チケット二枚持ってるけど一緒に行く人いないかな?」
わかりやすいくらい食らいつく目をしたその愛らしい顔がやっぱり大好きなので。
この先のことはそれからまた二人でゆっくり考えようよ。
俺としては真白とワンコを二匹くらい飼えたらそれで満足だってこともまだ伝えられていないけれど。
君を失ったあの日心が死んだように苦しくなったのだけはもう二度と嫌だ。
君と生きていたい。
「誕生日、おめでと、真白」
包み終えた薔薇の花を君に手向けたら、泣き笑いして。
「犬飼ったら私にも遊ばせて? 後、青也とまたライブ行きたい」
そこは、先にありがとうじゃないんだ?
笑いながら真白を抱きしめた。
【完】
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