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とある平日の仕事帰り。翔太は電車に揺られながら、結芽とペンギンのことを考えていた。
いまだ曖昧になっているペンギンのことをはっきり問い詰めるべきなのだろうが、彼の心のなかにはほんの少しの躊躇いがあった。
彼の性格をひとことで表すとすれば、『臆病』なのだ。結芽とつきあえることになったのも、彼にとっては奇跡に近い。
ようやく見つけた大切な人を問い詰めて、結果的にこじれたりしないだろうか……と、それが一番心配なことだった。
一方で、ペンギンのためにもう少し広いところへ引っ越してあげたいとも考えた。今の家は泳げる場所もないし、室内の温度設定も適切とは言えない。つまりペンギンにとって住み心地はあまり良くないと言うことだ。
最適な環境を作ってあげたら、きっとペンギンは喜んでくれる。
そしたら、彼女もきっと笑顔になってくれる。
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