令嬢は裏切りを知る

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 エミリー様の婚約者であるアルバン王子と親密な仲である、バラボー男爵家のアンジェリーヌ嬢。  彼女のいじめに加担しなかったのが、裏切りの原因だろう。  いや、でも私いじめとか性に合わないんだよなぁ。  うちのケスキナルカウス子爵家は、歴史はあるけどド貧乏だ。一歩間違えば私がいじめられる立場になっただろうなと思うと、「この貧乏な男爵令嬢がよくも!」なんてことを言えるはずがない。  むしろアンジェリーヌ嬢の家の方が、うちよりお金を持ってると思う。  だからなにかと理由をつけて、のらりくらりとしていたのだけれど……  私が躱している間にエミリー様のいじめ行為はエスカレートしていたらしく、アンジェリーヌ嬢を階段から突き落とす……なんてことまでやった。やってしまったのだ。  アンジェリーヌ嬢は足首を捻る程度の怪我で済んだみたいだけれど、アルバン王子はお冠で犯人を躍起になって探している。  そしてその罪と、すべてのいじめの罪を……エミリー様は近頃付き合いの悪い私に被せようとしている、と。  あー困ったなぁ。  アルバン王子はアンジェリーヌ嬢にすっかり夢中で、彼女が側室になるのは確実だと言われている。そのアンジェリーヌ嬢を害した罪を着せられてしまったら、お取り巻きAが口にしていたように平民に身分を落とされる……くらいのことは余裕であるはずだ。大怪我はしていないから、死罪や国外追放まではないと思うけど。  ちなみに私は、取り巻きFである。雑魚だ、取り巻きの中でも一番の格下だ。
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