2話 無茶ぶり

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「各キャラ共通のプロローグとかどうするんですか?年下のコンサートチューナーで作ってるんですよ」  チャーハンをテーブルの上に置きながら、森山君が抵抗する。 「直せばいいだけよ。それぐらいの修正簡単に出来るわよ」 「ピアノの絵とかもう発注してるんですよ。コンサート会場だってロケハンに行ってるし、イラストレーターさんに怒られるのは僕なんですから」 「じゃあさ、二人が勤める会社を楽器メーカーにすればいいよ。背景のイラスト使えるように設定を直せば済むでしょう」 「ヒロインの設定が変わったら、全部のキャラで修正が出ます」 「このシナリオだけ転職した設定にすれば問題はない」 「一番大きな問題を忘れてませんか?」 「大きな問題って?」 「誰が書くかって事です。頼めるライターはいないんですよ」 「それは森山君が書けばいいじゃない」 「はあ?何言ってるんですか?」 「森山君が書けばいいの」  念を押すようにもう一度言った。 「無理です!僕は素人ですよ」 「書けてるじゃない」  シナリオを森山君の前に置いた。 「無理です」  森山君がチャーハンを食べ出す。 「できるよ。この仕事をしてもう三年じゃない。シナリオを書く腕は自然と身についてるでしょ」 「それを言うなら十年の春川さんの方が書けるでしょう」 「だってこれは森山君が書いたシナリオだから。頭の中にキャラがちゃんといる人が書いた方がいいのよ」 「その言葉、そのままお返しします。ライターさんがいなくてもコンサートチューナーのキャラ、春川さんが書けばいいじゃないですか」 「ダメよ!」 「どうして?」 「だってこっちのシナリオの方が面白いもん!」
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