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「春川さん、無茶ぶりし過ぎです」
「わかってる。私も出来るだけ協力するから」
「……ラブシーンが書けません」
「え?」
「三話目が書けなかったのはラブシーンが書けなかったからです。一番大事な所ですよね?」
「うん」
「ラブシーンのない乙女ゲームなんて面白いんですか?」
「それは……」
「みんな胸キュンを楽しみにしてゲームをするって春川さん言ってたじゃないですか。その胸キュンが書けないのは問題ですよ」
「大丈夫。キャラが書ければ、ラブシーン書けるよ」
「無理だって言ってるでしょ。7年も彼女いないんですよ。もう、ときめきとかわかりませんよ」
「そうかな。私は森山君のキスにときめいたけど」
森山君が驚いたようにこっちを見た。
「性欲を感じただけでしょ」
「違うよ。ときめきだよ。森山君は性欲しかないの?」
「それは……」
森山君が気まずそうに視線をずらして、お皿を持って立ちあがった。
そのままキッチンに立ち、お皿を洗い始めた。
背中が怒ってるように見えた。性欲なんて言ったから?
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