2話 無茶ぶり

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「春川さん、無茶ぶりし過ぎです」 「わかってる。私も出来るだけ協力するから」 「……ラブシーンが書けません」 「え?」 「三話目が書けなかったのはラブシーンが書けなかったからです。一番大事な所ですよね?」 「うん」 「ラブシーンのない乙女ゲームなんて面白いんですか?」 「それは……」 「みんな胸キュンを楽しみにしてゲームをするって春川さん言ってたじゃないですか。その胸キュンが書けないのは問題ですよ」 「大丈夫。キャラが書ければ、ラブシーン書けるよ」 「無理だって言ってるでしょ。7年も彼女いないんですよ。もう、ときめきとかわかりませんよ」 「そうかな。私は森山君のキスにときめいたけど」  森山君が驚いたようにこっちを見た。 「性欲を感じただけでしょ」 「違うよ。ときめきだよ。森山君は性欲しかないの?」 「それは……」  森山君が気まずそうに視線をずらして、お皿を持って立ちあがった。  そのままキッチンに立ち、お皿を洗い始めた。  背中が怒ってるように見えた。性欲なんて言ったから?
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