786人が本棚に入れています
本棚に追加
3話 缶詰になります。
土日も森山君の部屋にいた。
月曜日に夏目さんにプロットを提出する事になったからだった。
森山君が作っていた元のプロットを20話の構成に直し、足りないエピソードは二人で知恵を出しあって考え抜いた。
食事は全部出前で、外に出る余裕も、余計な事を考える余裕もなかった。
睡眠時間も2、3時間という過酷な労働の末に、月曜日の朝7時にようやく完成。
よくもまあ、たった2日で20話分のプロットを書いたものだ。
通常は一ヶ月ぐらい時間をかけてやる仕事だった。
森山君は書き上げると同時にパソコンの前に倒れてすやすやと寝始めた。
よほど疲れたんだろう。
今日は一日ゆっくり休んでね。とは言えないのが申し訳ない。
夏目さんのOKが出たら関係部署のスタッフとの打合せをしなければいけない。
キャラを一番わかっている森山君なしには出来ない。
ブラック企業みたいな働かせ方をしてしまって本当に、本当に申し訳ない。
森山君が書き上げたプロットの誤字脱字を軽くチェックしてから、夏目さんにメールでプロットを送った。
午前中には読んでくれるだろう。これが最優先事項のはずだから。
メールを送ったら急に眠くなった。
一時間ぐらいは寝てもいいか。
ゴロンと森山君の隣に横になった。
眼鏡をかけたままだったので、外してテーブルに置いてあげた。
やっぱり森山君の素顔はイケメン。
寝てる顔は起きてる時よりもあどけない。
中学生の時まで想像出来てしまう。
どんな中学生だったんだろう?部活は何をやってたんだろう?
モテたのかな?彼女はいたのかな?
森山君の寝顔を見ながらあれこれ想像する。
なんか楽しい。
「お疲れ様、森山君」
そう声をかけて目を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!