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「私も横になるの?」
「ヒロインと年下キャラが会社の医務室のベッドで横になるシーンがあったでしょう?あのシーンのイメージを掴みたいんです」
そう言われてしまうと断れない。
「わかった」
森山君が寝てる隣のシングルベッドに横になった。
スプリングが程よく効いてて、気持ちいい。
「そっちに行くんですか?」
森山君がベッドから半身を起こした。
「何か変?」
「はい。同じベッドで横にならないとイメージ掴めませんよ」
森山君が苦笑いを浮かべた。
「同じベッドってのはマズいんじゃないの?」
「警戒してるんですか?」
「森山君が草食系じゃないって知ってるから」
「それって手を出す事を期待されてるみたいに聞えますけど」
森山君が眼鏡を取って、こっちを見た。
出た。イケメンモード。
「期待なんかしてない。眼鏡外さないでよ」
「なぜ?」
「だって……」
眼鏡を外す時はキスをされるって知ってるから。
とは、さすがに口に出せない。
森山君がベッドから立ち上がって、こっちに来る。
それから同じベッドに横になって、こっちを見た。
至近距離で目が合い、鼓動が早くなる。
「近いって」
横になったままベッドの端に逃げるけど、大して距離は変わらない。
「裸眼だと春川さんの顔がよく見えないんですよ」
「眼鏡かければいいじゃない」
「キスするのに邪魔なんで」
「な、何を言い出すの」
「ダメですか?」
「ダメに決まってるでしょ!」
「どうして?グラッと来るぐらい気持ちいいんでしょ?春川さんにとっても得になるじゃないですか」
「損得の問題じゃないの。こういうのは気持ちの問題なの。森山君は私の事、好きじゃないし、私だって」
「好きな人がいるって言いたいんでしょ?」
図星だったので動揺した。
「な、何の事?」
「知ってるんですよ。春川さんが誰を好きか」
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