3話 缶詰になります。

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「私も横になるの?」 「ヒロインと年下キャラが会社の医務室のベッドで横になるシーンがあったでしょう?あのシーンのイメージを掴みたいんです」  そう言われてしまうと断れない。 「わかった」  森山君が寝てる隣のシングルベッドに横になった。  スプリングが程よく効いてて、気持ちいい。 「そっちに行くんですか?」  森山君がベッドから半身を起こした。 「何か変?」 「はい。同じベッドで横にならないとイメージ掴めませんよ」  森山君が苦笑いを浮かべた。 「同じベッドってのはマズいんじゃないの?」 「警戒してるんですか?」 「森山君が草食系じゃないって知ってるから」 「それって手を出す事を期待されてるみたいに聞えますけど」  森山君が眼鏡を取って、こっちを見た。  出た。イケメンモード。 「期待なんかしてない。眼鏡外さないでよ」 「なぜ?」 「だって……」  眼鏡を外す時はキスをされるって知ってるから。  とは、さすがに口に出せない。  森山君がベッドから立ち上がって、こっちに来る。  それから同じベッドに横になって、こっちを見た。  至近距離で目が合い、鼓動が早くなる。 「近いって」  横になったままベッドの端に逃げるけど、大して距離は変わらない。 「裸眼だと春川さんの顔がよく見えないんですよ」 「眼鏡かければいいじゃない」 「キスするのに邪魔なんで」 「な、何を言い出すの」 「ダメですか?」 「ダメに決まってるでしょ!」 「どうして?グラッと来るぐらい気持ちいいんでしょ?春川さんにとっても得になるじゃないですか」 「損得の問題じゃないの。こういうのは気持ちの問題なの。森山君は私の事、好きじゃないし、私だって」 「好きな人がいるって言いたいんでしょ?」  図星だったので動揺した。 「な、何の事?」 「知ってるんですよ。春川さんが誰を好きか」
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