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森山君が意地悪く微笑んだ。
「何言ってるのよ」
「夏目さんの事が好きなんでしょ?」
なんで知ってるの?
「なっ、そんな訳ないじゃない。私が社長を好きだなんて」
森山君がクスクスと笑った。
「バレバレですよ」
横になったままポンポンと森山君に頭を撫でられた。
どうやら誤魔化せないらしい。
「そんなにバレバレ?」
「夏目さんの前では春川さん、女の子になってますから」
「普通にしてるつもりなんだけど」
森山君が大笑いした。
「勘のいい人だったら絶対にわかりますよ」
「じゃあ、会社のみんなにバレてるの?」
「わかる人はわかるでしょうね」
恥ずかしい。今度どういう顔をして出社すればいいの。
「でも、夏目さんは気づいてなさそうですよ」
「良かった」
この際、夏目さんにさえ気持ちがバレなければいい。
「なんで気持ちを隠すんですか?」
「なんでって、気まずくなるのが嫌なの。夏目さんが私を好きになる事絶対にないもん」
「そんなに自分に自信がないんですか?」
「自信があったら10年も彼氏がいないって事になってない」
「確かに」
森山君がまた可笑しそうに笑った。
「私の恋愛経験って大学生で止まってるのよね。これじゃあいけないなって思う事もあるけど、夏目さんに好きだって言う勇気もないし」
「キスしてる時の春川さん、物凄く色っぽいですよ」
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