3話 缶詰になります。

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 森山君が意地悪く微笑んだ。 「何言ってるのよ」 「夏目さんの事が好きなんでしょ?」  なんで知ってるの? 「なっ、そんな訳ないじゃない。私が社長を好きだなんて」  森山君がクスクスと笑った。 「バレバレですよ」  横になったままポンポンと森山君に頭を撫でられた。  どうやら誤魔化せないらしい。 「そんなにバレバレ?」 「夏目さんの前では春川さん、女の子になってますから」 「普通にしてるつもりなんだけど」  森山君が大笑いした。 「勘のいい人だったら絶対にわかりますよ」 「じゃあ、会社のみんなにバレてるの?」 「わかる人はわかるでしょうね」  恥ずかしい。今度どういう顔をして出社すればいいの。 「でも、夏目さんは気づいてなさそうですよ」 「良かった」  この際、夏目さんにさえ気持ちがバレなければいい。 「なんで気持ちを隠すんですか?」 「なんでって、気まずくなるのが嫌なの。夏目さんが私を好きになる事絶対にないもん」 「そんなに自分に自信がないんですか?」 「自信があったら10年も彼氏がいないって事になってない」 「確かに」  森山君がまた可笑しそうに笑った。 「私の恋愛経験って大学生で止まってるのよね。これじゃあいけないなって思う事もあるけど、夏目さんに好きだって言う勇気もないし」 「キスしてる時の春川さん、物凄く色っぽいですよ」
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