3話 缶詰になります。

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 まさか森山君?  ベッドから起き上がってインターホンに出た。 「お疲れ様です。新井(あらい)です」 「新井さん?」  ドアを開けると、今年うちの会社に入って来た新井さんが立っていた。  手にはレジ袋を持ってる。 「ここ、森山さんの部屋じゃないんですか?」  マスカラを盛った睫の長いを瞳を新井さんが瞬きさせた。  甘い香水も香ってくる。  可愛らしいピンク色のワンピースがよく似合ってる。    デート帰りかな?    会社にいる時もお洒落だけど、今はかなり気合が入ってるように見えた。 「森山君の部屋は向かい側」 「森山さん、いますかね?」 「いると思うよ。今終わった所だから」 「お休みの所だったんですね。失礼しました」  新井さんはレジ袋から栄養ドリンクを一本取り出して、笑顔でこちらに向けた。 「差し入れです」 「ありがとう」 「では、お休みなさい」  新井さんがドアを閉めた。  うん?今のは森山君目当てで来たって事? 「お疲れ様です!新井です」  ドア越しに明るい新井さんの声が聞えた。  どうやら森山君の部屋のインターホンを押した所らしい。 「由香ちゃん、来てくれたんだ」  森山君の声も聞こえた。  由香ちゃんって呼んでるの?下の名前で呼ぶ程親しいの?
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