3話 缶詰になります。

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「ここでお風呂入ろうかな」  バスタブの方を見ながらさらに信じられない事を森山君が言った。  もう、次から次へと心を揺らさないで欲しい。 「ダメに決まってるでしょ!ちゃんと自分の所で入って」 「帰るのが面倒になったんですよね」  森山君が疲れたように洗面台に寄り掛かって、こっちを向いた。 「廊下を挟んですぐじゃない」 「その距離が面倒くさい。今夜は泊めて下さい」 「はあ?狭いシングルベッドに二人で寝るって言うの?」 「ダメですか?」 「ダメ」 「どうして?」 「どうしてって、狭くなるからイヤ。それに私たちはそんな関係じゃないでしょ」 「そんな関係?」 「一緒に寝る間柄じゃないって事」 「つれないな。ラブホに行った仲なのに」 「あれはただの社会科見学!」 「キスもしたのに」 「森山君が勝手にしたんでしょ」 「あの時は春川さんが美味しそうだったから」  森山君がじっと視線を向けてくる。 「今も美味しそうですよ」 「美味しそうって、食べ物じゃないんだから」 「じゃあ好きだって言ったらいいんですか?」 「なっ、な」  なんでそう言う事言うかな。もうっ、森山君のバカ。    頭に来て、そばにあったブラシを投げた。  パシッと森山君が顔の前でブラシを受け取った。
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