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森山君がバスルームを出て行く。
私もその後を追った。
部屋に行くと、森山君は冷凍庫から自分の分のアイスを取り出してた。
その様子を見ていると、振り向いた森山君とバッチリ目が合った。眼鏡越しの瞳が少しだけ笑った気がする。その表情が何だか優しい。
「俺って意地が悪いですか?」
「悪いと思う」
「女の子からは優しいって言われるんですけどね」
「優しい所もあると思うけど」
「どんな所?」
「アイスを買って来てくれる所とか」
嬉しそうに森山君が微笑んだ。その笑顔が可愛くて、不覚にもキュンとする。そんなにいい顔見せないでよ。ときめくじゃない。
「夜分にお邪魔しました。明日もよろしくお願いします。春川さん」
春川さんに戻った。なんだろう、ちょっと寂しい。
葵さん呼びOKすれば良かったかな。
でも、これでいいのよ。森山君とは仕事の関係なんだから。それ以上になる気なんてないんだから。
「うん。明日もよろしくお願いします」
森山君が部屋を出て行った。
一人になって気が抜ける。
冷凍庫から続きのアイスを出してベッドに座った。
バニラの甘さと冷たさが火照った頭を冷ましてくれる。
最近、森山君に心が揺れてるな。なんで揺れてるんだろう。私が好きなのは夏目さんなのに。気づくと森山君の事ばかり考えてる。今だって……。
もやもやするな。この缶詰め生活が終わったら、森山君へのもやもやが少しはわかるようになるのかな。
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