4話 缶詰2日目 恋人代用品。

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「お願いって?」 「俺の恋人になって下さい」  こ、恋人……?    え、え、え……聞き違い?それとも本当に恋人って言われた? 「そんなに怯えた顔しないで下さい」  森山君がクスッと笑った。 「シナリオが書き終わるまで、恋人の代用品になってくれませんか?」  代用品?つまり本物じゃないって事? 「さっき春川さんに手つなぎシーンが書けてないって言われて、恋人が必要だと気づいたんです。シナリオを書いている間は恋をしていないと、ときめきなんて書けません。春川さんに納得してもらえる物が書きたいんです」  そういう事か。意図がわかってほっとする。  森山君、真面目なんだな。ちゃんとシナリオに向き合ってくれてるんだ。  いい物書いてもらいたいし、協力できる事はしてあげたいけど……。 「そういう事なら協力するけど、私でいいの?」 「春川さんしかいませんから」 「確かにシナリオ執筆中に側にいるのは私だけね」 「いや、そういう意味じゃなくて」 「え」  目が合うと黒い瞳が気まずそうに動いた。 「いえ、何でもありません。シナリオが終わるまでよろしくお願いします」 「うん。こちらこそ」  かなり照れくさい。代用品と言えども森山君の恋人になるなんて。  胸がまたドキドキして来た。  静まれ、私。ただの代用品なんだからそんなにときめくな。 「ところで、恋人としてのスキンシップはどこまでしてもいいですか?」  森山君がこっちを見た。 「えっ、スキンシップ?」  裸の森山君とつながっている所を想像してしまい、気まずくなった。  
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