【ラブorラブ?】

14/15
前へ
/192ページ
次へ
私はあまりの綺麗さに「うわ~」としか言葉が出ない。 こんな高さから花火を見ることは始めてだった。 花火は大きく広がってはいるが、決して近くはないため怖くない。 「これを見せたかったんだ。思った以上に時間がちょうどで、俺も驚いたけど」 「秋月部長の誘いで、初めて来てよかったと思いました」 「ツンツンはなし」 「わかりました、今日限定です」 まさか、こんなにも大きな花束をもらえるとは思いもしなかった。 色とりどり、形も様々な花火が舞う。 窓に張り付くように私は見た。目に焼き付けたかった。 「そろそろ終わりかな」 再び秋月部長は腕時計を確認する。 「はかないですねぇ。こんなに綺麗なのに、終わりがくるなんて」 「綺麗だから終わりが来るんだよ。綺麗じゃないまま、永遠でいたって辛いだけ。終わるから綺麗。だから大事にしたいと思える」 「らしくない、いい言葉」 「らしくないは余計だよ」 秋月部長はくったくのない笑みを浮かべる。 強かったり弱かったりする光がその顔にあたって、胸が苦しく響く。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

659人が本棚に入れています
本棚に追加