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「おはよう。よく寝てたわね」
私は見たことがない天井をぼんやりと見つめ、次におばあちゃんへ視線を移す。
いつの間にかベッドに寝ている。
朝日が窓から強く照らしていた。
「ああ、ごめんなさい。私、いつのまにか……」
「いいの、いいの。朝食の仕度をするから、シャワーでも浴びてなさい。この寝室を出て突き当たりに浴室があるから」
おばあちゃんはゆっくり歩いて部屋を出ていった。
ズキンと痛みが走る。頭痛がした。
なんとか体を起こし、足をベッドから下ろす。シャワーをすぐにでも浴びたかった。
下ろした足に何かが当たる。
見るとそこには、ナイフが落ちていた。
私、あの椅子からどうやってベッドへ移動したの?おばあちゃんが抱き抱えられるわけがない。
どうやって……
「あっ」
つい小さな声を漏らしてしまう。
ナイフの歯には小さな筋がいくつも先端へと伸びている。どう見てもタオルのような物で拭かれていた。
私は気づいてしまう。
拭き取れきれなかった、血の跡を。
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