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四ツ谷 純連
「青春部・・ですか?」
美咲と二人、生徒会室へ来ています。お相手をしてくれたのは、同じ一年で三組の学級委員をしてる・・なんだっけな名前。
「はい!三高青春部!です!」
「四ツ谷さんだよね?三組の」
そうだ!四ツ谷 純連!よつや すみれさん!
入学式の時、新入生代表で答辞を読んでた人。て事はですよ?新入生トップ入学だったて事です。頭いいんです。きっと。
「そうですけど・・」
秀才って聞くと真面目で、スカート長くて、メガネ掛けててーみたいな先入観持ってません?ダメですよそういうの。見た目と中身は必ずしもイコールではありません。
四ツ谷さんは、普通です。私達と同じ。どこにでもいるjkです。メガネ掛けてないし、スカートは短いし、ソックスは・・ニーハイ!?あれっ普通じゃない!入学式の時は、イメージ通りの秀才型だったような・・
「生徒会に入ったんだ!?」
「えぇ。勧誘されて」
もじもじしてる。もしかして四ツ谷さんも軽めコミュ障かな?
「とりあえず!この申請書!お願いしますっ!」
「は、はい。部員は・・二名。顧問は・・信濃先生ですか。それで活動内容は・・。旅?どこか旅行にいくんです?」
「ち、違うよ!みんなでお泊まり会!とかじゃなく!自分探しと青春を探す旅に出る!!部です!」
「はぁ・・自分探し。青春。ですか」
四ツ谷さんが申請書に視線を落として、何やら考え事をしています。その顔はどこか寂しそうな・・気がします。
「元々、今年の3月までは存在していた部なの。卒業生がいなくなって廃部になったみたいで。それを私達が復活!!させるんです!」
何言ってんの?って顔してる・・。
「・・そうですか。部員が4名にならないと、部としては認められないので、サークル扱いになります。部費は出ません」
淡々としてるなぁ。作業してるみたい。
「大丈夫です!あと二人、必ず見つけるんで!」
「そうですか。頑張ってください。お疲れ様でした」
「これで無事に部活できるね!」
「四ツ谷さん・・楽しくなさそうだったね」
「まぁ・・あんな広い部屋にひとりでずっと座って受付させられたらね。可哀想かも」
「ちょっと前に、お昼に用事があって音楽準備室に行った時、生徒会室通ったら、四ツ谷さんひとりでご飯食べてた」
「そうなんだ・・」
「あんまりクラスに馴染めてないのかも」
「そうなのかな・・」
少し気になります。隣のクラスだから、どんな感じの雰囲気だとか、誰が誰と仲良いかとかよくわからない。でも、なんとなく。なんとなくなんですが・・三組は暗い。気がします。
その後は部室に戻って、大掃除です!溜まったホコリを掃いて、窓を拭いて、床も磨いて・・。美咲はグチグチ文句言いながらも、きっちり手伝ってくれます。いい子です。殿方、おすすめですよ?
「あー疲れた・・」
「ありがと美咲!カリたこ一個あげるね」
「一個!けちー」
「はははっ」
「あっ!四ツ谷さん!」
「ん?!どこ!どこ!」
「ほら!今、校門!曲がった!」
四ツ谷さんが、ゆっくりした足取りで歩いてるのが見えました。やっぱりどこか寂しそうな・・
「まぐわり屋行かないかな?」
「まじ??誘うの!」
「何となく気になって」
「・・いこ!」
「うん!」
「おーい!四ツ谷さーん!」
二人でガンダすると・・美咲が圧倒的に速くて、追い抜かれてしまうのです。いつものことでして、無意識で私のペースに合わせてくれます。いい子。ほんと。
「あっ」
「はぁ・・はぁ・・校門出た後、歩くの早くなった気が!良かった追いついて!」
「どうしたんですか・・?」
ライオンに食べられるウサギってこんな表情をするんでしょうか・・。完全に怯えてます。
「あっ良かったらこれから、私達の行きつけのお店行かない??」
「お店??い、いいです」
「そんなこと言わずにー!ママいい人だし!美味しいよ!」
「ママ??何のお店です!?」
「まぐわり屋!」
「ま、まぐわり??如何わしいお店じゃないですか!行きません!」
「大丈夫。普通のたこ焼き屋だよ」
「た、たこ焼き・・」
「うん!いこっ!ね!」
「あら!新しいお友達?」
「そ!四ツ谷 純連ちゃん!」
「そうかいそうかい!早く座って!」
「よ、宜しくお願いします・・」
四人掛けテーブルに座ります。奥に四ツ谷さん、隣に私。美咲は対面の真ん中よりやや私寄り。
「カリたこ3人前!あと四ツ谷さん何か食べたいのある??」
「え!?えーっと・・いえ。大丈夫です・・」
「そっか!じゃぁ足りなかったらイカ焼き食べようイカ焼き!」
「晩ご飯食べれなくなるよー」
「しっしっし!それはそれ!これはこれ!」
「第一女子高生がイカ焼きて・・おっさんか」
「イカ焼き美味しいよ!?ね!四ツ谷さん!」
「えっ!!そ、そう・・ですね」
「ほらー!美咲がカッコつけ過ぎなの」
「はいはい・・」
「はい!カリたこ四人前!それと!烏龍茶ジョッキ三杯!」
「わあ!サービス!?」
「新しいお友達の歓迎会!ゆっくりしていきなよ」
「気が利くー!ありがとママ!」
「あ、ありがとうございます・・」
「カリたこ四人前ってこんなあるの!」
「とりあえず!乾杯しよ!四ツ谷さんに!カンパーイ!」
「かんぱーい!」
「か、かんぱい・・」
タコパ女子会!inまぐわり屋!美咲も初めは緊張してたけど、だんだんノッてきて、四ツ谷さんの硬い壁に突撃です!
美咲には、落ち込んだり、嫌なことがあったりした時、私が作った壁なんて物ともせず、軽く飛び越えて、一発ガツンする強さがあります。その強さと優しさに何度救われたか・・。
だからきっと。四ツ谷さんとも仲良くなれたら、彼女の壁を飛び越えて、救う事が出来ると思うんです。私は・・。いえ!私もですね。美咲だけに任せられません!変わらなきゃ!私も!
「お二人はとても仲良いんですね・・」
「小5から一緒だからねぇ」
「腐れ縁!腐ってないけど!」
三人で色々な話をしました。四ツ谷さんは徐々に笑ってくれる様にもなりました。それが何となく嬉しくて、深い所まで話を聞かずとも、仲良くなれる。そんな気がしました。
「あー楽しかった!ありがとう四ツ谷さん!付き合ってくれて!」
「ほんと。ありがとね!」
「い、いえ!こちらこそ・・ありがとうございました」
四ツ谷さんが深くお辞儀をしています。
「いいっていいって!同じ歳だし!気楽に!気楽に!あっ純連って呼んでもいい??」
「あっ私も!すみれって呼びたい」
「あの、その・・はい!わ、わたしも・・」
「うん!こっちが美咲!私は弥椰って呼んで!宜しくね!」
「は、はい。宜しくお願いします・・」
「硬いなぁ!さぁ!呼んでごらん!二人の名を!」
「何よその中世ヨーロッパ的なやつ・・」
純連は顔を真っ赤にしてもじもじしてます。とっても可愛いです。私達は待ちます。純連が名前で呼んでくれるのを。
「や、やや!みさき!よ、よろしく・・ね」
私達は顔を見合わせて笑いました。今、するべき事は一つ!
「よろしくー!すみれー!」
もちろん、2人一緒にすみれに抱きついてやりました!もう離しませんよー!
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