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喰らう
一人の男が写真を撮りながら山を登っていた。山肌や木々は勿論、山の中に居る動物も写真に収めながら山の奥深くに入って行った。
男の名前は水本。フリーのフォトグラファーを営んでいた。
被写体は主に自然である為、今居る槍ヶ岳によく入る事が多く何度も足を運んだ事のある山であった。ゆえに、何時もの通り山を登って決めた場所で折り返す手はずとなっていた。
「今日は天候も良いし、もう少し奥まで行こうか」
たった一人である為、道が解りにくくなるこの先には行かない事にしていたが、天候の良さと気候の良さも合わせて、さらに奥に進んでみようと言う好奇心が湧いたのだった。
水本は首から下げたデジタル一眼レフを仕舞うと、一息つき軽い休憩を取った後に再び進み出した。
「もう少し行けば、開けた道に出るはず。道がややこしいから早く出てくれないかなぁ」
そこまで行けば、道に迷うことなく進み出す事が出来ると水本は少し早足のまま山の茂みを掻き分けて進んだ。
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