喰らう

11/16
前へ
/193ページ
次へ
 カメラを設置した次の日、早速水本が夜に何をしているのかを録画したものを医師と看護師が集まって鑑賞する事となった。 「しかし、セキュリティの問題だとすれば早く解決しなければ我々の沽券に係わりますからね」 「確かに。こんな事がスキャンダルでもされればうちの病院だってどうなるかは解りませんよ全く」  患者を治療するはずの場である病院ではあるが、看護師達が常駐しているにも拘らずそこから患者が逃げ出したともあれば、病院としての信用問題になってしまう。  ゆえに、もしこの施錠し閉鎖された夜の病院でどうやって抜け出しているのか早く原因究明する必要があった。また、水本が拘束具を着たままどうやって出て行ったのかも皆が気に有る所ではあった。 「始まりましたね。とにかく早く見なければ」  此処は病院のミーティングルームであった。普段であれば応接室兼会議室として利用する場所であったが、今日は何時もよりも人が多かった。  映像が始まるとともに、ざわついていた室内が静まり返り一同備え付けられたモニターに注視した。  水本が眠っている間にどうなっているのか、巡回に来ていた筈の看護師達は何故異変に気が付かないのか、その謎がようやく解ける時間であった。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加