喰らう

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 モニターは、その映像を皮切りに何も映す事は無かった。たった一度の撮影で機材は壊れてしまった。二度、つけ直しもしたが毎回この調子では経費もおろせないと廃止となった。  相変わらずの奇行は止まらなかった。特に日を追って激しくなったのは、頭の打ち付けであった。 「止めて!止めて下さい水本さん!!」 「あがぁ、カワク、カワカカカカ、カックゥ」  泡を吹き、白目のままでベッドのヘッドボードに頭を打ちつけながら不気味に笑い続けていた。その髪は抜け落ち、何度も打ち付ける事で頭部は酷く腫れ上がっていた。  そして医師たちだけでなく、看護師達もその変態に気が付きはじめていた。頭部から顔が腫れあがった腫れは、顏まで来ると頭部が倍の大きさになっていた。  さらに酷い事に、頭部は出血を続けていたが何度も打ち続けたことで肉は削げ落ち、血も出なくなった事で頭蓋骨がむき出しとなった。 「、、、、、、、まるで河童の皿だな」  職員のうちの一人がそう言うと、それは瞬く間に広がり水本と言う患者は河童の呪いに掛かったのだと、病院中に広まるのには時間は掛からなかった。
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