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「遭難から奇跡の生還を遂げた男性とかで、未だにマスコミの方が来てましたが今の状態はとてもじゃないですが」
「そうですね。まぁ水本さん自身がこの状態では何の話も聞けないでしょうが」
体中に痣が有れば、病院側とすれば虐待の目を向けられる可能性もある。世間体を気にするのは当然の事であった為、今の水本の状態は何処にも公表できないでいるのもその所為であった。
「じゃあ、取りあえず処置はするけど今日も経過観察ですね」
そう言い、何時ものように痣の処置と頭部の裂けた頭皮と頭蓋骨の衛生を維持するための処置を行おうとしたその瞬間に、突然やせ細り眼球が飛び出したような眼が看護師を捕らえた。
「、、、、、ひぃ、み。ずもとさ、ん?」
それはまるで笑っているようにも見えた。今まで能面を張り付けたがの如く無表情であった水本の口元を裂きながら大口を開いた。
「き、っしゅあぁぁぁぁぁぁ!!」
奇声と共に、爬虫類のような細長く変態した舌が看護師に伸びようとしたが、隣りにいた医師は看護師を突き飛ばし自らも転げながら病室の出口の方に移動した。
「先生の言った通りだ。こうなったら来て頂くしか無いようですね」
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