36人が本棚に入れています
本棚に追加
護摩行は続く。その力を表すかのように炎は念仏に合わせて強く祈りを燃焼させる様に燃え上がっていた。
「悪霊退散!悪霊退散!」
建物内部に、トラックがぶつかった様な衝撃音が鳴り響き、寺そのものが揺れる程の衝撃を放っちながら、水本は結界内から出る事は出来ず暴れ回っていた。
しかし、その衝撃は一般の人間に大よそ耐えうるものでは無かった。そして、医師たちはを此処に残すべきでは無かったと、和尚は後悔する事となった。
元より寺自体が結界にもなっていたが、度重なる振動により建物中に貼り着けられた符が剥がれ落ちはじめていた。それらがゆっくりと吸い込まれる様に護摩行の炎に吸い込まれる様にして燃え尽きてしまう。
「マズイ、此処から離れるんや」
和尚がそう叫んだ時にはもう遅かった。医師と救護隊員達に声を掛けた筈であったが、返事も帰って来ず振り返って様子を見たが、皆一様にその場に倒れていた。
護摩行を止め寺から医師たちを運び出す為、駆け寄ったが皆一様に目玉がまるでゴルフボールの様に凸凹になり、口からは川魚の死骸が流れ落ちて来ていた。
最初のコメントを投稿しよう!